生まれた時には、すでに言語の習得が始まっていることは間違いありません。『いまの科学で「絶対にいい!」と断言できる最高の子育てベスト55』によると、3歳までに聞く単語数が語彙力を決定し、4歳では手遅れとあり、1時間に15分くらいの語りかけを推奨しています。
ただし!この研究結果には疑問があります。なぜなら家庭内での会話が調査対象だからです。言語能力が高い両親の間に生まれれば、子供もそうなる可能性が高くなります。また、よく話しかける親は、言語能力だけでなく年収も高く、その子供は学習に恵まれた環境にいる可能性が高いです。遺伝や環境の可能性を排除すして調査対象すべきです。
無理して話しかけなくてOK!
『子育ての大誤解』では、親よりも友達の言語により影響を受けるとしています(親の言語と友人の言語の2択の場合、迷わず親の言語を捨てる)。両親ともに言葉を話せない場合でも、子供は周りから自然に言葉を習得します。伝統的な社会では、0歳や1歳の子供に親が話しかけたりはしないそうです。もちろん、それでもちゃんと言語を習得します。
日本語を話す両親の子供がインターナショナルスクールに通うと、よっぽど日本語教育に気をつけないと、日本が怪しくなってしまいます。つまり、家庭だけではちゃんと言語を習得させることは難しいのです。
親が赤ちゃんの時から積極的に話しかけることで、早い段階から言葉が出てくる効果はありますが、将来の言語能力とは関係ありません。
子供に嵐のように話しかけているお母さんがいましたが、なんだか疲弊しているようにように見えました。自然じゃないんですよね。
もし、話しかけるのが大変なら静かにしていても大丈夫ですよ。子供はあーあー言って自分の声で楽しむし、お友達と集団で遊ばせておけば自然とベラベラ話すようになります。
無理のない範囲で話しかければよい
子供と会話できることでコミュニケーションの幅が広がり育児が楽しくなる効果と、言葉により赤ちゃんの要求が分かりやすくなり、癇癪をふせぐ効果は期待できます。なので、無理のない範囲で語りかけてみましょう。
一方通行のテレビやDVD、赤ちゃんに関係なく話している会話からは多くを学習できません。赤ちゃんに対面で話しかけることが重要です。半年までの赤ちゃんは話せませんが、目を見たり、反応を真似したり、双方向のコミュニケーションを意識しましょう。
自然にできてしまう人もいれば、返事が返ってこない赤ちゃんに話しかけることに違和感を感じる方もいるかもしれません。続けているうちに慣れてきたりしますが。書籍では、『「語りかけ」育児』が参考になります。同書では、1日30分の語りかけをすすめています。(が、無理する必要はありません。)
赤ちゃんに話しかけるポイントを次に挙げます。
- 赤ちゃんが声をだしたら、同じように繰り返す
- 赤ちゃんが興味を持っているものについて教えてあげたり、関連する擬音語や擬態語を言う
- 親が自分のやっていることを実況中継する
- 抱っこしながら、見えるものについて教えてあげる
- これからやることを赤ちゃんに説明する
- 絵本などを読み聞かせる
聞き取りやすい静かな環境で話しかけることも重要です。ゆっくりと少し高い声で話しかけると赤ちゃんが聞き取りやすいと言われていますが、母親は自然とそういう話し方になっているはずです。赤ちゃんにし対して世界中の母親はそのように話しかけており、このような話し方をマザリーズ(親語)と言います。
赤ちゃんはいつから言葉を理解するのか?
『ホワイト博士の育児書』には、赤ちゃんは6ヵ月から8ヵ月くらいで言葉を理解するとあります。『語りかけ育児』では、4ヵ月くらいになるとことばと意味が結びついてきて、自分の名前もわかるようになるとあります。
ただし、生後半年の赤ちゃんがほとんど言葉を理解していないようでも、心配することはありません。理解しているのか確かめるようなテストをすることはやめましょう。言語の習得をむしろ阻害するという説もあります。1歳くらいになると、赤ちゃんが自発的に行動する中で、言葉を理解していることが分かります。気長に待ちましょう。
絵本の読み聞かせについては「絵本の読み聞かせで学力やIQは上がらない!絵本の呪縛から解放されよう」を参照ください。