親が、「~~ちたの?」「かあたんは~」というような赤ちゃんや幼児の発音で子供に話しかけるのが良くないというのはよく聞く話です。幼児は発音ができないだけでちゃんと聞こえているから、大人がマネして間違った発音をすると混乱するという説ですね。
最初は私もなるべく使わないようにしていたのですが、子供が2歳になっておしゃべりするようになると自然とマネしちゃうんですよね。家の外では恥ずかしいので言わないようにしていますが。そういう人は多いのではないでしょうか。
でも、気にする必要はありません!
母親の母国語が日本語でない子供が保育園に何人かいますが、全員流暢な日本語を話します。子供が母親が話す言葉に影響を受けるなら、なまりが出たり、混乱しそうなものですが、そんな気配はまったくありません。
赤ちゃん言葉を親が話すのはよくないというのは都市伝説です。
保育園や幼稚園など子供社会に参加する機会があれば、子供はそこで言葉を習得するので、親は好きなように話せばいいのです。子供は家の中の言葉より、社会で使われている言葉を身につけます。
子供の気持ちに寄り添ったり、かわいいなぁという気持ちになった結果、自然と赤ちゃん言葉がでるのであれば、それは自然の摂理であり、育ちに害があるはずがありません。
親は子供の語学の先生ではないので、正しくあろうというよりも、幸せなコミュニケーションを目指しましょう!楽しくコミュニケーションをとることができれば、子供はたくさん話をしたい気持ちになって、結果的には言語能力も伸びるはずです。
親子の言語面で大切なのは、「正しさ」ではなく、「楽しさ」です。
もちろん、赤ちゃん言葉なんて絶対イヤ!という人は使わなければいいだけです。その時に気を付けたいのは、パートナーや家族、親戚、ママ友などに押し付けないことです。どのような言葉でコミュニケーションをとるかは、暴力的だったり、年齢にふさわしくない限り、個人の自由に任せるべきです。
繰り返しになりますが、親や親せきの言葉づかいに子供が影響をうけることはありません。しかし、他人の言葉遣いに意見すれば、その人とあなたの関係が悪くなる可能性があります。
相手が大人でも子供でも、言葉遣いを否定することは止めるべきです。子供が間違った言葉を使っても、さりげなく正しい言葉を言う程度にしましょう。
例えば、子供がチンパンジーの絵を見て「ぱんちんじーがいるー」と言っても、「そうだね、チンパンジーがいるね~」とさりげなく返事をすれば、そのうち子供は正しく学びます。「パンチンジーじゃないよ、チンパンジーだよ」と否定して子供を嫌な気持ちにする必要はありません。
なぜなら、子供はチンパンジーがいたことを伝えたいのであり、「パンチンジー」という言葉が正しいかどうか聞いているわけではないからです。「チンパンジーがいたよ」に対して、「パンチンジーじゃないよ」は、まったく返事になっていないので、そんなコミュニケーションは楽しくありません。
もし、「これは何?」とか「これはパンチンジーっていうの?」などと聞かれたら、「チンパンジーっていうんだよ」と答えればいいです。
同じように、大人が「そうでちゅか~」と子供に言っているのに対して、「赤ちゃん言葉はやめて!」というのも、コミュニケーションとして成り立っていません。
相手を尊重する気持ちを持ってコミュニケーションすることは、良い関係を築く第一歩です。
あなたの言葉遣いはあなたの自由の範疇ですが、あなたの子供もパートナーも、その他の人の言葉遣いもあなたの自由にはできません。自分は自分、子供も含めて他人は他人と思っていた方が気が楽です。
※ちなみに「ブーブ(車)」「マンマ(ご飯)」などの幼児語を使うと赤ちゃんの語彙を増やすと言われています。 2歳になるとこれらの言葉はそろそろ卒業ですが。0歳、1歳の赤ちゃんには積極的に使うとコミュニケーションがとりやすくなるかもしれません。