「保育園でがんばっている分、家では甘えさせる」は間違い

「保育園でがんばっている分、家では甘えさせてあげるべき」「大人が集団生活で気疲れするのと同じように、子供も保育園にいくと疲れるから早く迎えに行った方がいい」などと言われても、気にしなくてOKです。

もちろん、「子供を保育園に預けるのは、かわいそうなこと」「幼児は母親と一緒にいるのが一番幸せ」というのは誤解です。むしろ逆ですので、ご安心を!

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子供は保育園から帰りたくない方が自然

幼児というのは、自分の成長に必要なことであれば、骨の折れることでも苦も無く取り組めるという特徴があります。

大人にとっては勉強をしたり運動をするのは、相応の精神力(よし、やるぞ、と自分を奮い立たせたりする)が必要ですし、面倒だな、苦しいな、止めたいなと感じることが多くあります。

幼児は違います。言葉や動作を習得するには、繰り返し練習が必要ですが、なんの苦しみもなく、むしろ喜びをもって自ら取り組みます。

幼児にとって最大のやりがいがある課題は、保育園のような集団での生活です。それこそ、社会性を育むために必要なことです。

社会的な動物である人間は、社会性がなければ、明るい未来はありません。だから、子供は保育園のような同世代の集団生活で社会性を身につけることを本能的に必要とするのです。

だから本来であれば、保育園は楽しく、帰りたくないと思うのが自然で、早く迎えに来ることを喜ぶのは、少し心配な姿です。

なんで早く迎えに行くと喜ぶのか

しかし、実際には、早く迎えに行くと喜ぶ子がいます。その理由は大きく3つです。

(1)単純に親の顔を見て嬉しいから。

同年代の子供集団との関りを通じて、社会性を身につけることこそ、実は、幼児が熱烈に必要としていることです。しかし、親への愛情や愛着があるので、親の姿をみれば嬉しくなります。だから、迎えに行くと喜ぶ子がいるのも不思議ではありません。

早く迎えに行って喜んでいるのではなく、思いがけないタイミングで親の顔を見たから喜んだだけというケースも多いはずです。

(2)保育士が「よかったね!」というから

保育士が、他の子も見ているところで、「わ~!●●くん、お母さんが早く来てくれてよかったね!」と言っちゃうことで、「親が早く迎えに来るのはいいことだ」という価値観が子供に植え付けられてしまったのかもしれません。

集団のリーダーたる先生がいうわけですから、「そうなのか、親が早く来ることはいいことなのだ」と子供は思うわけです。

だから、逆に保育士が、「あ~、●●くんのお母さん、もう来ちゃったね。帰らなくちゃいけないから、今日はもう遊べなくて残念だね」と言えば、早く迎えにくるのを喜ばないでしょう。

しかしながら、そんなことを言う保育士はいません。保育士は、迎えの時間が早かろうが、遅かろうが感想を言わないのが一番です。が、悪気なく、迎えが早い時にポジティブな反応をする保育士さんもいるわけです。

残業しなくて済むとか、そういう自分の都合から早帰りを推奨する保育士もいますが、本気で子供は親と過ごすのが一番だと思っている方もいます。

実際には、2歳~3歳以降は、親とずっといるよりも、日中に子供集団で生活することが子供を成長させますし、子供の喜びにつながります。

(3)お友達が先に帰ってしまうから

幼児にとっての保育園の価値は、友達と過ごせるということです。それなのに、他の子が先にどんどん帰っていくなら、保育園に残っている意味がありません

また、幼児はお友達と同じであることを望むので、お友達が早く帰るなら、同じように早く帰りたがります。

お友達が先に帰ってしまうから自分も早く帰りたいというケースは、可能な範囲で早く迎えに行けるように調整するのがいいと思います。

しかし、【1:単純に親の顔を見て喜んでいる】や、【2:先生の押し売り】の場合は、子供が楽しく過ごしているようなら、早く迎えに行く必要はありません。

早く迎えに行った時に、子供が「迎えが早すぎる!もっと遊びたい!」という反応をしたら、社会性が順調に成長している証拠です。嫌われているわけではないです。むしろ喜びましょう!

早く迎えに行けないことを、申し訳ないと思わない

さらに4つ目の理由を挙げるとしたら、親が保育園に預けることを申し訳ないと思っている場合です。

「遅くなってごめんね」「預けてごめんね」というようなことを言うのはやめましょう。心の中でも、思わないようにしましょう。

実際に、多くの子供にとっては、保育園に通えることは幸せなこと、楽しいことです。働いている人は、自分が働いているから良い保育園に入ることができて、子供はラッキーだ!と思いましょう。

人間の子供は太古から、子供どうしで遊ぶことで成長してきました。親子で遊んでも、大人も楽しくないし、子供も楽しくありません。
子供と遊んでもつまらない・辛いのは普通

保育園で楽しく過ごせていない場合は注意

保育園に行きたがらなくても、早く迎えに来て欲しいと言われても、保育園にいる間は楽しくすごしているのであれば、問題はないでしょう。

しかし、保育園で辛そうに過ごしている場合は、何か保育園に問題がある可能性があります。

一番注意したいのは、保育士がまともでないケースです。子供にモラハラや体罰をする保育士がいるようであれば、問題を解決すべく全力をつくしましょう。認可園であれば、役所に抗議するとよいです。

どうしても、改善の見込みがない場合は、転園もやむ無しです。幼児期は、根本的な人間力を身につける、とても大切な時期です。

なぜ、保育園ではいい子なのに、親には甘えるのか?

保育園でいい子で、家に帰ると甘えん坊な我が子を見て、保育園でストレスがあるのかと思う方もいるかもしれません。が、違います。

保育園では、甘えても無駄だから甘えないだけです。母親や父親には、甘えても平気だと思うから甘えます。

幼児も相手によって、態度を使い分けています。なんなら赤ちゃんさえも。

保育士さんは、集団の長としての影響力がありますが、親には集団の力はないので、保育士さんほどの影響力を子供に及ぼすことはできません。しかし、時間をかけて、よい関係を築くことが大切です。

甘えが度を過ぎる用であったり、辛いようであれば、がまんせずに繰り返し伝えて、親の思いを分かってもらいましょう。親がどう感じているのか、素直な思いを伝える方が、我慢して笑顔でいるよりも、よっぽどよい関係を築けます。

大人でも、内心嫌だと思っているのに、笑顔の人って怖いじゃないですが。かえって心を許せないですよね…。

親子の関係は、保育園に通うかどうかで変わりません。保育園に通っているかどうかに関わらず、親子のよい関係を築けばよいだけです。